作品選び1時間半、本番3分
今夜は、時間がある。
家族は寝た。
明日は休み。
条件は、完璧にそろった。
(今日は、じっくり選ぶぞ…)
男は、作品を探し始めた。
まずはサンプル画像から、じっくり見ていく。
(悪くない)
でも、もっといいのがある気がする。
次のページ。
(これも悪くない)
でも、もっと…
ランキングを見る。
新着を見る。
セール中を見る。
なぜか、女優の経歴まで読み始める。
(デビュー作から順に見るべきか…?)
誰に対する誠意なのか。
気づけば、お気に入りに37本。
1本も再生していない。
ふと、時計を見る。
深夜2時。
(……え?)
1時間半が、溶けていた。
「もう、これでいい」
結局、最初に見た1本に戻る。
再生。
そして。
本番、3分。
静寂。
天井を見つめる男。
(俺は、何に1時間半かけたんだ…)
お気に入りの37本は、
今日もただ、そこにいる。
次こそは、すぐ決める。
男は毎回、そう誓う。
